国産から輸入品までいろいろあるけど、オーガニック製品って一体どれが安全なの?
有機栽培の認証マークがついていても、選ぶのに迷ってしまいますよね。
ひとくちにオーガニックと言っても、実は国によって認定の基準が全然違うんです。
また、貧困問題の解消や動物の幸福など、オーガニックに安全以外の意義を持たせる国もあるんですね。
そこで、オーガニック製品を選ぶ時に役立つ、国別の認定基準について説明しようと思います。
まず、みんな1番気になるのがオーガニック食品やコスメの安全性だと思います。
どこの国のオーガニック認定基準も農薬や化学肥料は禁止なので、安全性はどの国も高いと言えます。
ただし、細かい部分で国によるオーガニックの認定基準に違いがあるんですね。
例えば日本やアメリカではオーガニックの基準は食品のみで、コスメやシャンプーの基準がありません。
また、日本やアメリカのオーガニック認定基準では遺伝子組換え作物を禁止していますが、EU加盟国では一部で認められています。
調べてみると、オーガニック製品の安全性は国によってだいぶ違うんです。
この先で国別のオーガニック認定基準の違いを一覧で紹介しますので、ぜひ読み進めて下さいね。
そして食料や化粧品の安全以外にも、社会を良くする活動をオーガニックの認定基準に含む国もあるんです。
ヨーロッパではオーガニックの考えにエシカル、つまり道徳的に正しい行いも含まれます。
道徳というと難しそうですが、より地球上の人々や動物が幸せになる方法がエシカルなんですね。
日本でエシカルの考えがまだ浸透していませんが、ヨーロッパではエシカルはメジャーな価値観です。
オーガニック認定の条件にどんなエシカルな活動が含まれるのか、簡単に説明しますね。
まず、日本でも少し耳にするようになったのが、フェアトレードですね。
地球上の人々には貧富の差があり、その差を埋めない事には戦争も飢餓も無くなりません。
そこで、有機栽培の作物を発展途上国で作り、その利益を農場の人に正しく分配するのがフェアトレードです。
環境に優しく土地を汚さない有機農法で作物を作れば、何世代にも渡って畑を耕して暮らす事もできます。
つまり、長い目で見て地球上の人すべてがハッピーになる、それがオーガニックとフェアトレードなんです。
そして動物福祉、つまりアニマルウェルフェアの考え方をオーガニック認定基準に含める国もあります。
家畜を狭い檻に閉じ込めない、痛い苦しい思いをさせないなど、動物の幸福を追求する考え方が動物福祉です。
エシカルな考え方は日本にまだ浸透していませんが、オーガニック認定の新しい世界基準になる価値観ですね。
まとめると、安全基準の厳しさ、エシカルな活動への姿勢など、国によってオーガニック認定の基準は違うんですね。
まずは簡単に、世界の国別のオーガニック認定基準を一覧で比べてみましょう。
※政府機関や民間団体問わず、その国で最もメジャーな認定方法で比較しています。
国 | 食品の 認定基準 | コスメの 認定基準 | 遺伝子 組換え | 基準の 方向性 |
---|---|---|---|---|
日本 | ◉ | 無し | 不可 | 安全のため |
アメリカ | △ | 無し | 不可 | 安全のため |
EU加盟国 | ○ | ○ | 一部可 | エシカル |
ドイツ | ◉ | ◉ | 不可 | エシカル |
フランス | ◉ | ◉ | 不可 | エシカル |
イギリス | ◉ | ◉ | 不可 | 健康法 |
オーストラリア | ◉ | ◉ | 不可 | 安全のため |
食品の安全重視なら日本やイギリス、オーストラリアのオーガニック製品がおすすめです。
オーガニック食品に遺伝子組換えが認められていないなど、どの国も安全基準が厳しいんですね。
オーガニックコスメなら、ドイツやフランス製が安全で種類も豊富です。
国がオーガニックコスメの認定基準を定めていますし、民間のオーガニックコスメ認定団体も多いんですね。
エシカルな活動を応援したい場合も、ドイツやフランス製、発展途上国で作られた物も良いでしょう。
もっと詳しく海外のオーガニック事情を知りたい人のために、国別の認定基準についても説明しますね。
まずは国産オーガニック製品の認定基準について説明しますね。
日本のオーガニックの基準は農林水産省が定める「有機食品の検査認証制度」があります。
簡単に言うと、有機栽培の基準とそれが守られているか第三者がチェックする仕組みなんですね。
オーガニックの作物を作るには、過去2年以上禁止農薬や化学肥料を使わない土地で育てるなど、かなり厳しい安全基準です。
カナダやヨーロッパ諸国と日本のオーガニック認定の基準はほぼ同じなので、日本の有機栽培は国際的な信用もあります。
その証拠に「日本で有機栽培農作物と認められたものを輸入した場合、我が国でもオーガニックと認める」という国も多いんです。
例えば、カナダやスイス、EU加盟国は日本のオーガニックをそのまま受け入れる取り決めをしています。
日本の国産オーガニックの基準は、世界標準レベルと言って良いでしょう。
ただし、オーガニックの基準が厳しいのは農作物とその加工品、つまり食べ物だけです。
オーガニックコスメやシャンプーについては、日本には基準が無いんですね。
なので、1%でもオーガニックの植物エキスやオイルが入っていればオーガニックコスメとして売る事が出来てしまいます。
国産のオーガニックのコスメやシャンプーを買う場合は、よく成分表示を見たほうが良いでしょう。
オーガニックコスメの認定基準が無かったり、エシカルには無関心だったり、日本はまだまだオーガニック後進国なんですね。
アメリカのオーガニック製品も国の農務省、つまりUSDAがチェックして認証します。
有機栽培と認められる基準は日本よりも厳しく、3年以上禁止農薬や化学肥料を使っていない土地で育てる事が条件です。
ただし、アメリカは表示への規制が甘く、USDAの認証が無くてもオーガニックと表記できてしまうんですね。
認証を受けなければUSDAの認証マークは使えませんが、普通の人には国に認められたオーガニック製品かは判断できません。
しかも70%オーガニック原料、95%以上オーガニック原料のマークがあり、USDAの認証マークは表示もわかりにくいんですね。
そして、アメリカにもオーガニックコスメやシャンプーの認定基準がありません。
世界で1番の経済大国ですが、アメリカはオーガニックに積極的では無いんですね。
ヨーロッパのEU加盟国は共通のオーガニック認定の基準があります。
ヨーロッパ共通のオーガニック認証EU-Biosiegelを受けた製品には、星の認定マークが付けられます。
化学肥料や農薬を3年以上使わない土地で育てるほか、保管や加工方法にも細かい決まりがあります。
ヨーロッパではオーガニックでないものを偽って販売した場合、なんと罰則もあるんですね。
なので、EU加盟国のオーガニックの基準は日本よりも厳しいと言えるでしょう。
ただし、加工品は5%まで遺伝子組換え食品を入れても良い事になっています。
遺伝子組換に関してだけは、ヨーロッパは少し規制がゆるやかなんですね。
EUはオーガニックコスメの基準もしっかりしている地域でもあります。
1番広く使われているのが、COSMOS(コスモス)認証のオーガニックコスメ認定制度です。
原料のうち20%以上オーガニック成分を配合する事や、環境を汚さない生産方法も決められています
化粧品には水分やミネラルも含まれるため、原材料の20%というのはかなり高い割合と言えますね。
また、遺伝子組換作物や動物を殺して得た原料は使わないなど、細かい基準が設けられているんですね。
欧州のオーガニックは肌にやさしいだけでなく、環境を汚さず、動物を苦しめない事を大切にしています。
ほかにも、より基準が厳しいオーガニックコスメ認定基準としてNATRUE(ネイトゥルー)もあります。
化学物質の使用基準が厳しく、より自然派のオーガニックコスメしか認定に通りません。
ネイトゥルー認定に合格したオーガニックコスメは、かなり安全でエシカルと言えるでしょう。
有機栽培の基準がヨーロッパの中でも厳しいのが、オーガニック先進国のドイツです。
ドイツはオーガニック製品の流通量が多く、手軽にオーガニック品を選択できる国です。
EUの基準よりさらに厳しいドイツ独自のBio認定という有機栽培の基準があるので安全性も高いんですね。
国の機関、ドイツ連邦消費者保護・食糧・農業省大臣がオーガニックの認定をします。
農作物に禁止農薬や化学肥料を使わないのはもちろん、ドイツは畜産の基準が厳しいのが特徴です。
家畜を放牧する牧場もBio認定、つまりオーガニックの環境で育てなければいけないんですね。
また、動物を狭い檻に入れたり苦しめない、動物福祉を守る事もオーガニックの基準になっています。
ドイツは、オーガニックコスメを認定する民間団体がたくさんあるのも特徴です。
それぞれ認定基準の厳しさや、エシカルへの姿勢が違うんですね。
最も古くて有名なのがBDIHの基準で、環境を汚す添加物や放射線による殺菌の禁止しています。
また、哺乳類の動物から取った原料を禁止しているのも特徴ですね。
このBDIHよりも厳しいオーガニックコスメ認定基準なのが、eco control(エココントロール)認証とdemeter(デメター)認証です。
皮膚科学的に有用な材料を使う事が盛り込まれているエココントロールは、美容に役立つ認証になっています。
また、エココントロールはフェアトレードも認定基準に盛り込んだエシカルな認定基準です。
デメター認証はより環境に配慮しており、原料を育てる時の農薬や肥料の規制が厳しい認定基準です。
しっかり環境保護に力を入れたオーガニックコスメ認定基準がデメター認証と考えましょう。
ドイツのオーガニックコスメを選ぶ時は、どのエシカルな活動を支持したいかで決めたいですね。
フランスにも、国の通商産業省が独自に作ったオーガニック認定基準のECOBIO(エコビオ)があります。
エコビオ認証では、オーガニック製品の95%以上は自然由来の原料を使う、自然由来のものの50%以上はオーガニックのものを使うのがルールです。
フランスもオーガニック先進国なので、オーガニックの認定には厳しいんですね。
また、オーガニック認証機関の中でも歴史が古いECOCERT(エコサート)もフランスに本部があるんです。
国を超え、ポルトガルやコロンビア、南アフリカに支社を持ち、世界中の有機農作物の認定を行っています。
エコサートはフェアトレードを推進する団体としても有名です。
フランスはより、世界中の経済を良くするオーガニックを目指していると言えるでしょう。
イギリスには世界最古のオーガニック認証機関のSoil Assorciation(ソイル・アソシエーション)があります。
なんと、イギリスのオーガニック食品の80%がソイル・アソシエーションの認証を取得しているんですね。
国がオーガニックを推進しているほかのヨーロッパ諸国と比べ、民間の活動が活発なのがイギリスです。
ソイル・アソシエーションは、特に健康をテーマにしたオーガニック認証機関になります。
遺伝子組換え作物を過去5年生産していない、工業地帯から離れているなど、安全基準がかなり厳しいんです。
食の安全を追求するなら、イギリスのソイル・アソシエーションのオーガニック認定は心強いんですね。
イギリスのオーガニックはエシカルな活動というより、健康法のひとつと考えられています。
オーストラリアにもオーガニック認定基準が沢山ありますが、国際有機農業運動連盟IFOAM (アイフォーム)の基準どおりに農薬や化学肥料の基準を設けている組織がほとんどです。
アイフォームの基準に沿ったオーストラリアのオーガニック認定団体には、ACOやBFA、AQIS、NASAAなどがあります。
オーストラリアのオーガニック認定団体はアイフォームと同じく遺伝子組換え作物を禁止しており、安全性が高いんですね。
農作物だけでなく、オーガニックコスメの基準も厳しく、原料の95%以上が有機栽培でないとオーガニックコスメとして認められません。
総合的に見て、オーストラリアはオーガニックの基準がかなり厳しい国と言えるでしょう。
オーストラリアも、食の安全を追求するタイプのオーガニックを推進する国ですね。
そして実は、オーガニック製品は発展途上国で生産された物こそ、購入する意義があります。
実は南米やアジア、アフリカで製造されたオーガニック製品も、上質でエシカルなものが沢山あります。
オーガニック認定団体の指導のもと有機栽培を行っているので、品質管理も万全なんです。
例えばフェアトレードを推進するエコサートなど、発展途上国でオーガニック製品を沢山作っています。
支援したい途上国の品か、信頼できるオーガニック認定団体かどうか、両方をチェックして選ぶと良いですね。
買うだけでエシカルな活動ができる、有名なオーガニック認定団体が発展途上国で作る製品はおすすめですよ。
それぞれの国で、オーガニックの認定基準も考え方も全く違うんですね。
どの国のオーガニック製品も安全性が高いですが、選ぶときに意識したいポイントはこの3つです。
食べるものを選ぶなら、日本の有機栽培、つまりオーガニック食品を選ぶと良いでしょう。
野菜なら国産のほうが新鮮なうちに届きますし、日本の農家を応援する事にもなります。
オーストラリアもオーガニック認定基準が厳しいので、安心して食べる事ができますよ。
エシカルな活動に興味があるなら、ドイツやフランスの認定団体が作るオーガニック製品ですね。
購入するだけで、フェアトレードやアニマルウェルフェアの活動を支援できるアイテムも多数です。
「自分だけの安全」から一歩先へ、世界の幸せを考えてオーガニック製品を選ぶのも素敵ですね。